2023年12月22日。
創業から199年の酒蔵「中沢酒造」さんにて、新酒の誕生を知らせる「杉玉(酒林・さかばやし)」の掛け替えが行われました。
新酒の搾りはじめを告げる「杉玉」
骨組みからの杉玉づくり
中沢酒造が所有している山林からおよそ1トンの杉の葉をあつめ、社長の友人である井山氏を中心に、12月初旬から作業を開始。
杉玉づくり5回目である今回、森林インストラクターの6人が骨組みから製作し、このたびお披露目されました。
そもそも酒蔵における杉玉とは、新酒の搾りがはじまる合図とされ、その色の変化によって酒の熟成具合も変わってくるのです。
製作された杉玉は丸型の他に、一升瓶や来年の干支にちなんだ龍に模したものが展示され、一風変わった風物詩に来客の方々の笑みもこぼれます。
「龍の出来栄えは良い。こういう世の中だから平和になってもらいたい。龍に飛んでもらって戦争を辞めさせてほしい」
と願いを込めて語るのは、森林インストラクターの宮下啓一さん。
木の枝や電線ケーブルなど、思い思いに作られた龍には勇ましさと優しさを感じとることができます。
今年のお酒の出来栄え
いっぽう酒造りについては
「今年は暖冬の影響でお米の状態が難しく、もろみの管理にも手間がかかったが順調に仕上がった」
と説明するのは11代目の鍵和田茂社長。
今年の初しぼりの出来は青リンゴのような香りのする爽やかな仕上がりなのだそう。
「杉玉を見ると新酒がしぼれたとホッとする」と、杉玉の下で笑顔で語られていました。
龍と一升瓶の杉玉の展示は1カ月程度。
杉玉の観賞だけでなく、新酒のお買い求めとともに中沢酒造へ足を運ぶのはいかかでしょうか。